まずは前回のおさらいをしてみます。
住まいの形からみた住まいづくりの選択肢
・住戸形式の違い:戸建てとマンション
・注文方法の違い:注文住宅と分譲住宅
・取得方法の違い:新築と中古のリフォーム
・住宅取得の9割が戸建て住宅
戸建て住宅のメリット・デメリット
メリット:設計自由度が高い/一人当たりのスペースが大きい/芝家庭菜園やペットなどが楽しめる/近隣トラブルが発生しにくい
デメリット:同面積であればマンションより割高/メンテナンス・修繕・戸締り・セキュリティーは自己責任
分譲マンションのメリット・デメリット
メリット:利便性が高い場所に建つ/上下移動のないワンフロアー/セキュリティーやアメニティーが充実/メンテナンスが計画的
デメリット:上下階の生活音が気になる/収納スペースの確保が難しい/管理費や積立金などが発生
家づくりの選択肢は増えてきたが……
・日本人には木造戸建て住宅が一つの理想
・自分のためのオンリーワンな家づくりを
引き続いて、家づくりの形をお金という側面で見ていきたいと思います。
まずは戸建て注文住宅の費用についてです。
みなさんの家づくりにお役立てください。
設計・施工か設計・監理+施工か
戸建ての注文住宅を手に入れようと思った場合、まずは土地がなくてはなりません。
不動産情報を様々探しながらまずは土地の取得です。
なかなかわかりづらいことも多く、金額も金額なので不安も多いですよね。
土地探しの注意点はたった一つです。
「条件が良いのにお買い得な土地はない」
つまり不動産販売的な価値が高ければ、相応の値段がするので
条件が良くて安い土地はないということです。
安い土地には安いなりの理由が必ずあります。
まだみんなが知らないだけでお得……ということはありません。
土地には相場があり、時価があり、価格は上下はしますが、驚くほど安価になったりしないものです。
「お得だな」と思った瞬間にまずは疑ってください。
判断がつかない時には、私たちのような設計事務所に相談してみるのも一つの手です。
(お気軽にご相談を)
この辺りの話は後日取り上げる予定です。
さて、土地が取得できたならば、次は上物である家づくりです。
家づくりは、設計とその施工をしてくれるハウスメーカーや工務店に頼む方法と
設計を建築設計事務所に頼み、施工を工務店に頼むという2つの方法があります。
通常ハウスメーカーや工務店は、内部に営業設計の人がいて、設計をしてくれます。
その設計に基づいて社内の施工部門が施工をします。
つまり建主さんはハウスメーカーや工務店と「設計・施工」契約を結ぶのです。
これだと建主さんの立場に立って、
その利益を守るために工事の内容を確認する監理の立場の人はいません。
一方、「建築設計事務所+工務店」での家づくりでは、
建主さんは建築設計事務所と「設計・監理」契約をします。
契約内容に基づいて、建築設計事務所は建主さんの意向をもとに工務店を探します。
そして工務店が正しい価格で見積もっているか、
着工後は正しい方法で施工されているかを確認する「監理」業務を行います。
ここでもそれぞれメリット、デメリットがあります。
詳しくはまた改めて。
お金の話に戻りましょう。
無理のない資金計画が必要
家づくりでは、お金だけの話ではないのですが、
あまりギリギリで想定しない方が良いです。
家づくりをしている間に、予想外にいろいろなことが起こります。
例えば、いろいろなことがわかってくるので、
いろいろと発見があり
いろいろと考えが変わってきたりします。
後になって「ああしたい」「こうしたい」という希望が出てくるものです。
でも、心もお金もスケジュールにも多少は余裕がないと諦めなくてはいけません。
せっかくのフルオーダーの住まいづくりですから、
無理のない範囲で十分な準備をしてください。
後で慌てないためにも、家づくりに関わってくれるハウスメーカーや工務店、建築設計事務所にいろいろと確認してください。
どちらの方法で注文住宅づくりをしても土地の取得費用と工事費用はかかります。
ここでは「工事費用」を「総工費」と言い換えます。
総工費の内訳知ってます?
総工費は大きく分けて工事費、付帯工事費、諸費用の3つからなります。
それではそれぞれの内容を見てみましょう。
工事費
建物本体の費用のことです。
床・壁・天井、浴室やキッチン、造作家具や収納、
電気や照明など建物本体のすべての部分の建材・部品の値段に施工費を合わせたものです。
1個いくらとカウントする建材もありますが、
多くは単価に長さや面積、容積などを掛けた金額です。
施工費も、一式いくらという表記もありますが、
施工者が何人で何日と数える人工(にんく)にその単価をかけて施工費を計算したりします。
ハウスメーカーの見積もりは「一式」表記で細目がないことが多いようです。
選択肢がそもそも多くないということもあるようですが、
そもそも表記できないという都合もあるようです。
建築設計事務所の設計による住まいの見積りでは
細目が表示されているのが普通です。
工法や外壁・屋根の仕上げのグレードや面積で金額に幅が大きくあります。
また、キッチンやお風呂などの住宅設備のグレードにも大きな幅があり価格も違ってきます。
決められてものから選ぶハウスメーカーの家づくりと違って、
建築設計事務所での家づくりはフルオーダーですので
細く希望を叶えていくことができます。
一般的に工事費は総工費の70〜80%が、目安と言われています。
残予算として2〜3割を確保するイメージです。
付帯工事費
建物本体以外の外構、塀、門、屋外電気工事などの工事費用を付帯工事費と言います。
さらにこれに、地盤が悪ければ地盤改良工事または杭工事の費用が発生しますし、
古屋があればその解体費などが付帯工事費として必要になります。
付帯工事費は総工費の15〜20%が目安になります。
あくまでも目安なので、
これに関しても内容によって大きく変わります。
例えば、立派な松を植えたりするとそれだけで100万200万はすぐにかかりますから……
最近は流行らないようですが……
諸経費
他に諸経費が5〜10%かかります。
5%といっても総工費である何千万円の5%ですから安くない金額です。
まだかかるのか、とお思いかもしれませんが
戸建て注文住宅で家づくりをしても、
マンション購入で住まいを取得しても、諸経費はかかります。
内訳としては、契約書類の印紙代、家屋の登記費用
ローンの保証料、ローン手数料、火災保険などなどなどです。
さらに
前出の土地取得時には土地代とは別に、
仲介業者に仲介手数料を払うことになります。
もちろんこれは中古マンションの取得の場合も同じで、
仲介業者に仲介手数料を払うことになります。
調べてみると一般的に
購入時の諸費用は、
新築一戸建てで価格の6〜10%
新築マンションで価格の3〜5%
ぐらい占めるようです。
それ以外にも、転居に伴い
せっかくなので新しい家具ということになればその費用がかかりまし、
こういうタイミングだから家電も買い換えましょうといえばそれもかかります。
引越し費用もかかりますが、
せっかくだからカーテンを新調しましょうなんてこともある。
引っ越したらこれから長くお付き合いするのだから、まずは近隣にご挨拶。
となればそのお品代もバカになりません。
念願だったケーブルテレビの加入費や町会費など、
予定外・想定外の出費が発生することもしばしばです。
怯えることはありませんが、こうしたことを念頭に置いて、
家づくりのお金をイメージすることが必要です。
お金の感じ見えてきたでしょうか?
みなさんの家づくりの参考になると良いのですが。
2021/04/20 佐藤 勤 記
次回、4月23日(金)に更新予定です。
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