こんにちは。
シンプルモダン住宅を設計する
相川佐藤建築設計事務所の佐藤勤です。
台東区谷中で設計活動中です。
今回もよろしくお願いします。
さて、家づくりのための土地を購入について考えてきました。
建築家との理想の家づくりに向かいましょう。
前回、土地探しは情報収集が大切で、
家づくりの予算とのバランスを考えましょうというお話でした。
そこで引き続き家づくりのための土地探しの具体的なポイントを
押さえていきましょう。
土地の不安要素
土地には敷地形状など見た目だけではわからない不安要素があります。
土地購入後に、不測の事態が発生すると、
家づくりの予算のバランスが大きく変わってきてしまいます。
建物予算を圧迫することにもなります。
どんな不安要素があるかでしょう。
主に次の5つを挙げたいと思います。
① 敷地面積にずれのある土地
よくあることといえば不安を煽ることになるかもしれませんが、
登記簿上の面積と、現状が異なることはよくあります。
ハワイ諸島が乗っている太平洋プレートは、
毎年約5センチずつ北西に移動しているそうです。
地球の地表面は常に不動で一定ではありません。
しかしそれが原因ではありません。
測量の技術的精度の問題もあるでしょうし、
地震や地滑りなど地表は動くことがあります。
理由はともかく、驚くほどのことでもなく状況を把握していればOK。
とはいえ、大きく違うことはあまり多くありませんが、
プランニングや延べ面積に影響が出ないように
設計時に注意する必要があります。
② 敷地の用途に制限がある土地
実は土地にはそれぞれ、建物を建てるにあたっての制限があります。
自分が購入した土地だからと言って
好き勝手に建物が建てられるということではありません。
個人の住宅であっても社会性が求められます。
建築基準法を守らなくてはなりませんし、
景観条例や風致地区が指定されていることもあります。
防火(燃えにくさ)や建物高さの制限、
外観の色や仕上げ材の制限がかかることもあります。
他にも敷地にお宝が眠っていて、文化財埋蔵の調査をしなくてはいけないこともあります。
土地購入時には、そうしてことが提示されていますが、
そのすべてを理解するのはなかなか大変です。
慎重さが必要なところです。
最終的には詳細を自治体に確認が必要があります。
しっかりとあなたのための住宅向きの土地か確認しましょう。
③ セットバックしなくてはいけない土地
購入した土地の前にある道路幅が4m未満の場合、
建築基準法により、セットバックが必要です。
いきなり難しいですか?
それでも、大概は土地販売の資料の中に「セットバックあり」とか
「要セットバック」とか
「セットバック済み」と書いてあります。
それは
敷地からみて道路の反対側が宅地であれば道路の中心線から2m
崖や河川・線路などの場合は4m
後退(セットバック)して建物を建てなくてはいけないという絶対ルールです。
セットバック部には、建物はもちろん門扉や擁壁を建てられません。
つまり、利用できるところが狭くなります。
設計時にはセットバック前提となるのです。
④周辺環境/視線・匂い・騒音
購入する土地そのものがどういうところかということも大切ですが、
どういうところかというのは周辺環境です。
特に敷地周囲の建物の窓の向きや位置はチェックが必要です。
意図せずとも、覗かれたり、覗いてしまったりしたくないもの。
意外に日常会話やテレビの音声はうるさいものなので、
近隣のリビングやダイングの位置はチェックが必要です。
チェックし、じゃあどうするかはまた後ほど。
そして、忘れがちなのが玄関位置。
自宅の玄関位置だけではなく、
近隣の玄関もチェックが必要です。
開けるたびに家中丸見えなのも困りますし、お互い開けるたびにお見合いでも辛いもの。
自身がどこに玄関を設けるか想像してみてください。
他にはエアコンの室外機やガス給湯器、エネファームの位置もチェックしてください。
それぞれ動作時の音や排気などが問題になることもあります。
さらに、ゴミ置場が近くにないかもチェック。
忘れがちですが、大切なポイントです。
そして最後に、電車や大きな道路の騒音や排気ガス、振動も確認が必要です。
振動は思ったより遠くからも伝わります。
敷地に立ち、大きな車両が通過するタイミングを待って確認をしてみてください。
⑤ 周辺環境/未来・災害
これまでは「今」をチェックしてきました。
しかし「未来」のチェックも必要です。
街は人口が増えたり、商業施設が出来たり「未来」で大きく変わります。
そんなに大きな変化でなくとも、
バスルートが変わりバス停位置が変わるとか、
新たにコンビニができ人の流れが変わり、
賑わいが変わったりします。
周辺環境が変わる兆しはないか?
建築物や道路の計画はないか?
計画はないが将来の可能性はないか?
チェックしましょう。
空き地があれば大きな建物や人が多く集まる施設が建設される可能性があります。
エリアごとの人口比率が変わることで小学校の学区が変わったりもします。
特にタワーマンションなど大規模な計画では街が一変します。
また、それぞれの自治体でハザードマップが作成されたり、
防災計画が策定されています。
市役所などを訪れ、ハザードマップを入手し、
万が一の災害発生時をイメージしておくべきです。
過去の教訓は必ず役に立ちます。
次回は引き続き家づくりのための土地をどう見るか考えていきましょう。
(この項、つづく)
2021/06/15 佐藤 勤 記
この項続きます
次回、6月18日(金)に更新予定です。
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