はじめての家づくり 35|図面の読み方 ② 模型も図面
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はじめての家づくり 35|図面の読み方 ② 模型も図面

こんにちは。

千葉県松戸市でも実績のある相川佐藤建築設計事務所の佐藤勤です。

谷根千で家づくり設計活動中です。

リフォーム・リノベーションの設計依頼もお待ちしています。


前回は無料提案の図面のお話。

図面に合わせて、模型も作るという話でした。

今回は、さらに様々な種類の図面についてです。



おおよそがわかる初回無料提案の模型


皆さんに初回提案をプレゼンテーションする時、図面の他に簡単な模型を作るというお話をしました。


縮尺は1/100(百分の1)のことが多いです。

1/100とは1メートルが1センチメートルで作られています。

両面に白色の紙が貼られた発泡プラスチック素材の「スチレンボード」で壁や床を表現するのが普通です。


        模型材料のスチレンボード(レモン画翠のホームページから)



窓の穴をくり抜き、屋根を架け、敷地を表したボードに貼り込みます。

僕たち設計者にとっても、模型製作は結構ワクワクする作業です。

図面が立ち上がっていく感じは、施工現場が進んでいくような感じに近いです。


縮尺1/100の模型は、スタディー模型やボリューム模型・検討模型とも呼ばれます。

これは設計を「スタディー=検討・調査・研究」するために作られるからです。

場合によっては、ちょっとずつ変えていくつも作りこともあります。

いくつも作ることで、ミニチュアとはいえ実物に近いものを比較・検討できます。

図面の比較検討とはまた違った発見があります。


そして、見た目以上に、スタディー模型の情報量は多いのです。

持ち上げて、覗き込んだりしていください。

そこに、自分がいるシーンを想像してみてください。

帰宅時の我が家の見え方を確認できたり、玄関周りや部屋の関係が「こんな感じなんだ」と理解できたりします。

テレビとソファーの関係が正確にイメージできたり、窓の大きさの調整ができたりします。

ちょっと妄想力が必要かもしれません……。





ところで、

例えばイメージ通りに設計図を書いても、二次元の図法に従った作図は、実物の見え方と違います。

考えてみるまでもなく、三次元のものを二次元のもので表記するのだから、描き方=図法というルールに基づいて描かれています。

特に建築は縦横高さがある立体です。

奥行きがあって、高さがあります。

図面で描かれているものは、現実ではどう見えるか、どう体験できるかのトレーニングを積まなければ、理解しコントロールできるものではありません。

背面に窓がある時、リアルではその窓から音や光が入ってきていて、窓そのものをみなくとも、背中で窓があることを感じることができます。

窓あることで広がりを感じたり、明るさを感じ、その体験とイメージして設計が進みます。

図面から実際の空間をイメージすることはある程度できますが、実際は現場に行かないとわからないことも多いです。

これはかつて建築雑誌の編集をしていた時に何度となく体験しました。

というかその逆。

図面で見えてこないことが、現場に行くとまるっとわかってくる。

そこに「建築的な体験」がある時にはよくあることでした。

図面でわかった気になっていた有名建築を実際に観に行くと(建築設計者は実に広々世界に建築を見に行くものです)、間違った理解をしていたことは割にあります。

(建築的な体験についてはいずれまたどこかで。)







現実の縮小版である模型は多くのことを教えてくれます。

ステディーで作った模型を見てプロポーションや空間を確認、設計を調整・修正することはよくあります。

模型の意味は大きいです。






話を戻す。

打合せ用の図面のお話。

無料提案の図面で色々とお話をし、コミュニケーションが取れそうならば、これより先に進むことになります。

図面は建主と設計者のコミュニケーションツールであると同時に、議事録となります。

図面を見ながら、メモをとり、スケッチを書き、確認と提案を続けることになります。


無料提案の図面の次のステップとして、基本設計のための基本設計図が描かれます。




(この項つづく)



2021/09/27 佐藤 勤 記


次回、10月1日(金)に更新予定です。

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