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新年を寿ぐ食卓の風景。つくる手と食べる笑顔をつなぐ造作キッチン

  • 執筆者の写真: 佐藤 勤
    佐藤 勤
  • 1月6日
  • 読了時間: 3分

「つくる」と「食べる」を分断しない、対話のある配置



現代のキッチンは、時に孤立しがちです。

高性能な設備が整っているにもかかわらず、調理者は家族に背を向け、一人作業に没頭しなければならない。

それでは、最も大切な「食」の準備が、喜びから義務へと変わってしまいかねません。


「赤羽の家」で私たちが目指したのは、キッチンを「作業場」ではなく「舞台」にすることです。

ダイニングとの間に壁や視線を遮るものを極力なくし、調理中も家族やゲストとの自然な対話が生まれる配置を追求しました。

調理者が家族の様子を見ながら作業できるのはもちろん、ゲストがお茶を飲みながら会話に参加したり、子どもが安全な場所で手伝いをしたり。

キッチンを家の中心に据えることで、家族の「生活」そのものを共有する場となります。


新年の祝い膳を準備する際も、孤独な作業ではなくなります。

皆で笑い合いながら盛り付けを進める。

それは、料理の味だけでなく、その「時間」もまた、豊かな思い出として刻まれることを意味します。

この設計は、食を通じた家族の絆を深めるための、静かな提案なのです。



使い込むほどに愛着が湧く。職人による手仕事の造作


現場打ちテラゾーの小口
現場打ちテラゾーの小口

システムキッチンが主流の今、私たちはあえて手間と時間をかけて「造作キッチン」を選びます。

なぜなら、それは既製品には決して実現できない、使い手の身体性や生活に合わせた最適解だからです。


「赤羽の家」のキッチンは、建主様の身長、よく使う道具のサイズ、調理の動線、全てをヒアリングし、ミリ単位で設計されています。

キャビネットの深さ、引き出しの段数、食洗機の収まり、全てがそのご家族のためだけのオーダーメイドです。

特に、収納に使われる木製の扉や引き出しは、気心が知れた大工が丁寧に組み上げています。

これは壊れたら取り替えるキッチンはなく、修理ができるキッチンです。


扉を開ける時の心地よい重量感。

毎日触れる取っ手の、滑らかで温かい手触り。

それは、工業製品の均一な冷たさとは対極にあります。

使い込むほどに素材の艶が増し、小さな傷さえも愛おしくなる。

「道具としての美しさ」を追求した結果、そこに立つことが喜びとなる、世界に一つだけのキッチンが完成しました。



職人の手仕事が光る。現場打ちテラゾーの品格



新年を迎える食卓には、特別な器や、大切に受け継がれた祝いの膳が並びます。

料理や器の美しさを最大限に引き出すためには、それを載せる「舞台」となるカウンターの存在が非常に重要です。


「赤羽の家」のキッチンカウンターは、現場打ちのテラゾー(人造大理石)を採用しています。

テラゾーとは、砕いた石やガラスのチップをセメントで固め、現場で丁寧に磨き上げて仕上げる、まさに「手仕事の結晶」です。

既製のパネルを使うのではなく、その場で流し込み、硬化を待ち、研磨する。

この手間と時間をかけた工程こそが、空間の格調を高めます。


このテラゾーの表面には、様々な色や形の骨材(チップ)が複雑な表情を見せています。

光が当たると、その一つ一つが控えめに輝き、奥行きのあるテクスチャを生み出します。

均一な素材では出せない、この複雑で深みのある表情が、ハレの日の器を静かに受け止め、より一層際立たせてくれるのです。


きちんと考えて選ばれた素材に囲まれることは、日々の暮らしの中で、常に上質な美意識に触れるという、得難い贅沢なのです。


まとめ


機能性はもちろん、そこに立つことが喜びになる。

道具としての美しさを備えたキッチンが暮らしを支えます。

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