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都市の喧騒を忘れ、街に馴染む静かな佇まい

  • 執筆者の写真: 佐藤 勤
    佐藤 勤
  • 2025年12月17日
  • 読了時間: 4分

師走の赤羽。

活気ある街並みの中で、ふと深呼吸したくなるような場所があります。

今回は「赤羽の家」をご案内します。



街の風景に溶け込みつつ、個性を放つ外観デザイン


赤羽という街は、独特の熱量を持っています。

路地を行き交う人々、商店街の活気、どこか懐かしい昭和の面影。

その反面、この建物のある敷地はそこを見下ろすように坂を登った先にあります。

お屋敷街を背景にし、エネルギーに満ちた場所を足元とする。

ここに住まいをつくるとき、私たちは二つのことを考えます。

ひとつは、街の喧騒から住まい手の生活をしっかりと守ること。

もうひとつは、街に対して閉ざしすぎず、風景の一部として調和することです。


「赤羽の家」の外観は、奇をてらった派手さはありません。

しかし、その佇まいには確かな意思が込められています。

例えば、外壁に用いた素材。

工業製品の無機質な壁ではなく、人の手仕事を感じさせる仕上げを選ぶことで、

建物自体が柔らかい表情を持ちます。

時が経つにつれて汚れが目立つのではなく、味わいへと変わっていく素材です。


新築でありながら、ずっと昔からそこにあったかのような馴染みの良さ。

道行く人がふと足を止め、「なんだかいい家だな」と感じてくれるような、

街の風景の質を少しだけ上げるような存在でありたい。

個性を声高に主張するのではなく、静かに滲み出るような品格を大切にしました。

はるかに、瀬戸内の焼杉の木造家屋を思う。

それは、住まう人の美意識そのものでもあるのです。



玄関へのアプローチが生む、心の切り替えスイッチ


道路から玄関までの数歩。

都市住宅において、このわずかな距離をどう設計するかは極めて重要です。

単なる移動のための通路として処理してしまえば、外の慌ただしさをそのまま家の中へ持ち込むことになってしまいます。

私たちはこのアプローチを、社会と私生活をつなぐ「結界」のような場所だと考えています。


「赤羽の家」では、道路から一歩敷地に足を踏み入れた瞬間、空気が変わるような仕掛けを施しました。

自然の素材に触れることで、無意識のうちに身体の緊張がほどけていきます。

ポストを確認し、鍵を取り出し、ドアノブに手をかける。

その一連の動作の中で、仕事モードからリラックスした自分へと心が切り替わっていく。

そんな「スイッチ」としての機能を持たせること。

あえて少しだけ手間がかかったり、視線を遮ったりすることで生まれる「間」が、

日々の暮らしに精神的な豊かさをもたらしてくれるのです。



窓から切り取る空。都市に余白をつくる設計の工夫


住宅密集地において、開放感とプライバシーの両立は永遠の課題です。

大きな窓をつければ明るくはなりますが、隣家や通りからの視線が気になり、

結局一日中カーテンを閉め切って暮らすことになっては本末転倒です。

「赤羽の家」では、窓を単なる採光の開口部としてではなく、

外部の風景を美しく切り取る「額縁」と、あるいは光を導き入れるためのスリットとして捉え直しました。


隣家の窓の位置を丁寧に読み解き、視線が交錯しない絶妙な高さや位置に窓を配置します。

ある窓は、隣の家の緑だけを借景として取り込むように。

またある窓は、視線を空へと導き、都市にいながらにして広い空を独り占めできるように。

壁によって守られた安心感の中に、計算された光と風の通り道をつくるのです。


そうして切り取られた景色は、都市のノイズが削ぎ落とされ、

空の色や雲の流れといった、純粋な自然の表情だけを室内に届けてくれます。

物理的な広さには限りがあっても、感覚的な広がりは無限につくれる。

都市の中にひっそりと存在する余白のような空間が、ここにはあります。


まとめ


街を拒絶せず、けれど結界のように静けさを守る。都市住宅における、心地よい「距離感」の答えがここにあります。



お気軽に事務所にいらしてください。

無料相談と初回提案をさせていただきます。


相川 直子

佐藤 勤

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