こんにちは。
薪ストーブやペレットストーブが大好きな相川佐藤建築設計事務所の佐藤勤です。
丁寧な打合せで、みなさんの夢を叶えます。
千葉県柏市の建築家としても家づくり設計活動中です。
リフォーム・リノベーションの設計依頼をお待ちしています。
このブログでは、これから家づくりをなさる方たちに向けて、注文住宅の情報を提供するとともに、設計事務所に頼もうかどうかの検討材料を提供しています。
ご一読いただき参考にしていただけましたら幸いです。
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前回、実際に作るために必要となる細かい検討がされた実施図面についてお話しました。
建物を階の途中から水平に切って下を見た平面図。
建物を垂直に切り、指示された方向を見る断面図。
建物をその外部から正対(せいたい)して立体的に見た立面図。
建物に使用する「材料=仕上げ材」を表にした仕上表。
様々な仕上げや収まりを指示する他、標準的な床・壁・天井の作り方や雨仕舞いなどが記された仕様表。
敷地の形状、敷地と建物の位置関係、敷地内外の高低差、方位や道路や隣地との関係などがわかる案内図・配置図。
と、さまざま。
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これらをベースにして、さらに施工するためや意匠性を確保するために詳細な図面が必要となってきます。
続けます。
⑥ 矩計図
法遵守で家づくりをするためには、建物の平面的な面積や仕上げ材料だけではなく、高さ方向も注意しなくてはいけません。
このコラムの「第18回 土地探し5大不安要素とは」や「第19回 土地の見方」でも触れてきましたが、どのような高さの建物が建てられるかは、敷地の環境・条件によります。
建物の高さは断面図や立面図で確認できますが、断面図をさらに詳しく細かく描いたものが矩計図(かなばかりず)です。
一般的な断面図のように、平面図上の指定されたところで切断されたもので、地面に近いところから、基礎、土台、床、壁、屋根などの仕様や高さ関係の寸法を示した図面となっています。
縮尺1/20〜1/50と縮尺が少し大きくなるので、途中省略されて描かれることもあります。
断面図や立面図、平面図では空間や開口部、素材のボリュームなどを美しいプロポーションや正しい重心を求めて調整するのに使いますが、矩計図は高さ方向の寸法の確認が主目的です。
⑦ 天井伏図
「てんじょうふせず」と読みます。
伏図は建築独特の図面かもしれません。
パッと見は、平面図に見える図面です。
平面図と違うのは、ほぼ平面図と同じ図面に、その平面を床レベルから見上げた天井の情報が描かれていることです。
折りあげ天井(天井の高さが部分的に違う施工方法)の指示や仕上げの切り替えなどのデザイン的情報と共に、照明の位置や火災報知器、カーテンやブラインドなどの取り付け位置などの情報が表示されます。
天井伏図でないと図面として表現できないことがあるため、必要な図面です。
⑧ 展開図
世の中の住宅の中には寝室が円柱の空間であったり、三角錐の空間だったりするものもあります。
面白い空間体験ができるかもしれませんが、個人的には落ち着かず、自室として選択しないと思います。
四角普通の部屋がいい。
寝起きが悪くなりそうで落ち着きません。
そもそも旅行に枕を持っていきたいと思うタイプの人間ですので、こちらの感じ方がちょっと極端かもしれませんが……。
それでも天井の高い部屋は好きですし、大きな面積の部屋も大好きですが、四角柱の空間でないと落ち着かないと思います。
大学の建築学科の学生時代に、ポツンと便器が置いてある馬鹿でかいトイレを設計したら指導教官が懇切丁寧にまずい理由とあるべき考え方を説明してくれました(この方は後年、間取りの本でベストセラー作家になっています。今でも平積みで売られています)。
それでも胆力のある方で強情な私に付き合って毎週のように言い合いになっていました。
……その経験は生きていますが。
なので広さが様々な設計的問題を解決してくれると思ってもいますし、そうでないとも思っています。
実際海外のリゾート地でバカみたいにでかくて落ち着かないトイレに出くわしたことがあります。
手の届かないところにドアがあるだけで、実は随分と落ち着かなくなります。
心の持ちようとアプローチで、体験する空間も印象が変わってしまうことを経験しました。
話を元に戻します。
ギャラリーや美術館、先進企業のオフィスやクリエーティブな作業の部屋などはその限りではないので、色々と空間のアイディアはあります。
ありますが、通常は部屋は四角くて、壁は4枚あって、それに沿って家具の配置ができるのがまずは素敵な居室です。
基本は四角くて4枚の壁と床に天井で居室はできていて欲しい。
その4面を部屋の中心に立って正対して順に書き上げたのが展開図です。
壁の表面だけが描かれています。
壁の形状、材料、寸法の他に、私たちの事務所ではコンセントやスイッチ、エアコンや給気口・排気口などできる限り書き込んでいます。
実施設計ですので、すぐにでも作れるようなぐらい細かく、作ることを前提にしてどんどんと詳細な図面となっていきます。
⑨ 平面詳細図
枠や建材が切り替わる見切り部分など平面的な収まりや構造躯体との取り合い、仕様、寸法関係を押さえた図面です。
一般的な平面図より大きな縮尺で描かれますが、建物の実際の大きさや、図面の出力用紙の大きさによって、平面と兼ねたりすることもあります。
図面でなんとなく書けていても実際には作れないということが、建築ではあります。
建材そのものがそのように加工できない場合や、施工道具が大きく作業箇所で作業だできないなど。
デザインされたものを実際どのように作っていくのかを考えていないといけません。
ここで手間がかかる場合は、大工の「人工(にんく)=作業手間」が増えるのでコストアップとなります。
設計者とコミュニケーションが取れている工務店なら良いのですが、そうでないと図面を理解してもらえないこともあります。
デザイン的にも施工者の技能を前提とした判断が常に必要とされます。
今日はここまで。
(この項つづく)
2021/10/15 佐藤 勤 記
コラム:はじめての家づくり掲載リスト vol.03
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