はじめての家づくり 42|土地の2022年問題
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はじめての家づくり 42|土地の2022年問題

更新日:2022年2月4日

こんにちは。

シンプルモダン住宅を設計する相川佐藤建築設計事務所の佐藤勤です。

丁寧な打合せで、みなさんの夢を叶えます。

台東区・文京区の建築家としても家づくり設計活動中です。

リフォーム・リノベーションの設計依頼をお待ちしています。

最近では住まいの熱環境に興味を持っていて、日夜研究中です。


このブログでは、これから家づくりをなさる方たちに向けて、注文住宅の情報を提供するとともに、設計事務所に頼もうかどうかの検討材料を提供しています。

ご一読いただき参考にしていただけましたら幸いです。


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うちの事務所では、建主さんと一緒に土地探しから家づくりをすることがあります。

ご希望を伺い、懇意にしている不動産業者に相談したり、建主さんが探してきた土地を一緒に見に行ったりします。

なかなか一発で土地探しが解決することはありません。

最長で3年ほどご一緒したこともありますが、引っ越し後のお宅を拝見すると、喜びを感じます。


一方で、設計を依頼されるときに、土地を決めて来られる方も多くいます。

うまくその建主さん家族にあった土地であればいいのですが、決める前に声をかけてくれればよかったのにと思うことも少なくありません。

理想の家づくりにふさわしいか、そうでないか……。

総工費における建築工事費と土地代のバランがよいか、そうでないか……。

設計前に少しでもご相談いただけたらお手伝いできたのに、と思うことが少なくありません。





生産緑地の30年


そんなわけで、土地の市場動向や価格変動には敏感な部分もあります。

ここにきて、コロナやオリンピックの影響が地価にも出ていると聞きます。

商業地区では、供給の流れに少なからず影響が出ているようです。


住みたい街ランキングや住みやすい街ランキング、子育てしやすい街ランキングなどがネットでも紹介されています。

そうした分析から、今、家づくりをする人から何が求められているのかなど大いに参考になります。

腑に落ちなかったり、納得できなかったりすることも多いですが、それはそれ。

Web上には色々な情報があります。


最近「土地の2022年問題は実際どうですか?」と聞かれたりします。

2022年問題ってご存知ですか?

これは2022年に生産緑地法の30年の農営義務を果たした生産緑地が多発することを指しています。





2022年問題は土地探しに影響しなさそう


ご存知のように、1970年代の日本は深刻な住宅不足に見舞われていました。

大規模な住宅団地が計画され、世の中が大きく変わっていきました。

その中で、1974年に市街化区域内の農地の宅地化を図るために公布されたのが、生産緑地法のはじまりです。

その後時代の流れの中で、行き過ぎた開発などが表面化し問題視されるようになりました。

そのため、1991年に良質な都市環境の確保のために改正が行われ、翌年に改正生産緑地法が施行されました。

そこから30年目が2022年なのです。


生産緑地法では、生産緑地に指定された土地の自由売買が30年間禁止されていました。

その代わりに固定資産税の優遇や、贈与税の猶予など税制優遇がありました。

この30年のタイミングで、指定された地区の8割に当たる1万ヘクタール以上が満了します。

満了した場合、所有者が農営しなければ、まずは地方自治体が買い取ることになっていますが、なかなか難しいと言われています。

その場合は農業従事者に斡旋されたり、地区指定が解除されて宅地などとして転売が可能となります。


なので、一斉に宅地の流通に影響が出そうにも思えますが、どうでしょうか。

色々と調べてみると、不動産業界では大きな問題が発生しないのでは、あるいは影響は限定的ではという意見が見られます。

一つには、時代とともに生活スタイルが変化してきたことがあるようです。

先日発表された首都圏の新築マンションの平均価格は、昨年よりの17%も上昇しているそうです。

その要因は、物件数の減少と買い手の増加があるそうです。

にわかには信じがたいのですが……。

もう一つには、建築規制の緩和や生産緑地法再改正による特定生産緑地などの優遇策などの対策が取られているからとされています。





コロナもここにきて落ち着きを見えています。

経済成長が諸外国より鈍い日本では、経済活性化に向けた流れが生まれつつあります。

そう思うと、不動産の動きにここ数年になかった動きがあるかもしれませんが、正直、読めません。


そこでご一緒することの多い、文京区と台東区にどれくらい生産緑地があるかを調べてみました。

東京都が把握していました。

驚くべきというか、よく考えれば当然の結果で、文京区と台東区には生産緑地はありませんでした。

都区内では練馬区と世田谷区が極端に多く、イメージ通りです。


詳しくは、以下URLで確認ください。


東京都生産緑地地区一覧(令和2年4月1日現在)https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/seisaku/midori_kakuho/pdf/seisanryokuchi_ichiran.pdf


これを見る限り大きな動きはないようにも見えます。

とはいえ、都区内では突出した練馬区、世田谷区を外して考えると、足立区、葛飾区、江戸川区が多いことがわかりました。

北千住や赤羽の最近の人気を思うと、都区内城東エリアで土地を探していた人たちが少し郊外の上記エリアに流れる可能性がある気がします。

そうした遠因により、文京区や台東区の流れに影響があるかもしれません。


コロナ禍によって郊外の住宅取得者が増えるとの予想もありましたが、どうもそうではないようです。


どうなるかわかりませんが、私たちも年明けからの流れに注目したいと思います。


(この項了)


2021/11/17 佐藤 勤 記


コラム:はじめての家づくり掲載リスト vol.01




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